反芻思考の改善に自然の中での散歩が効きました

ストレス状況を繰り返す反芻思考

反芻思考とは何度も同じ考えが頭の中に現れる状態です。特に「侵入型反芻思考」と呼ばれる、意図していないのに突然過去の状況がが頭の中にフラッシュバックするような思考は、ストレス場面が繰り返されることで、うつ病などの精神疾患にもつながるといわれています。

なぜ人間の脳はストレス状況を繰り返すようなことをするのでしょうか?それは生物として、同じようなストレス状況になったときにうまく振る舞えるよう、役に立つように予行演習しているのだとされます。

とはいえ、ストレス状況を繰り返すことが悪影響を及ぼすのには変わりません。

反芻思考を減らすには自然に触れることが有効

反芻思考そのものの回数を減らすにはどうしたらいいのでしょうか。スタンフォード大学の実験では、都市部での90分の散歩では反芻思考の頻度が変わらなかったのに対し、自然環境での90分の散歩は被験者の反芻思考を減少させたといいます。

実際に自然の中を歩いてみた

「自然の中を歩くことが反芻思考を減少させる」というのはにわかには信じられなかったのですが、反芻思考に困っていたので自然の中を歩くことにしました。

当日朝の状況

前日に大事な面接がありました。準備不足だったことはわかっているのですが、終始しどろもどろで残念な結果に終わり、面接後から反芻思考が止まらなくなりました。

反芻思考と時間をメモしていたのですが、「なんであんなこと言っちゃったんだろう…」とか「しどろもどろな自分」、「怪訝そうな面接官の顔」など、この日は朝から約10分毎に反芻思考があったことがわかっています。

緑の多い場所へ

近所の緑の多い場所へ向かいました。向かう間も反芻思考は増え、ひどいときには約2分ごとに反芻思考が現れていました。

近所の緑地

緑地にたどり着くと、一気に視界がひらけたような感覚になりました。内面に視線が向いていたのが外界に向かった感じです。

しばらく自然とは無縁の生活をしていたので、緑地の中を歩いたり、アプリで植物の名前を調べたりしているうちにあっという間に時間が過ぎました。40分ほどですが緑地にいた間は頻繁に起こっていた反芻思考がほとんど現れなかったことに驚きました。

その後約1時間反芻思考が消えた

緑地から出た後は温泉から出たときのようにリラックスしているのがわかりました。緑地から家に帰り、一時間くらいまったく反芻思考は浮かびませんでした。

昼頃からまた反芻思考が現れる

緑地を出てしばらく現れなかった反芻思考ですが、時間が経つとまた現れるようになりました。しかし記録を見ると頻度は減っていました。

その後2日で反芻思考が消える

それからしばらくは朝に緑地を散歩するようにしました。すると2日後にはほとんど反芻思考が消えました。低く細い木が多い場所よりも、樹齢を重ねた大きな木が多い場所のほうがよりリラックス度が高いと感じました。

生活の中に自然を取り入れる

先にあげたスタンフォード大学の論文の先行研究では、都市よりも緑の多い農村部の人のほうがストレスは低く、また、窓からコンクリートしか見えないときよりも、窓から自然が見えるときほうが、記憶力、注意力、衝動抑制、多幸感などの値が高いという実験結果もあるようです。

今回、実際に緑地を歩いてみることで、反芻思考に自然がもたらす効果がわかりました。反芻思考に悩まされている人は、なるべく緑の多い場所へ散歩に行くようにし、通勤・通学も緑の多いルートを選ぶと反芻思考の軽減に役立つでしょう。窓から自然の見える場所で仕事をしたり、観葉植物を側に置くのも良さそうです。

 
なぜ自然がストレスを低減させるのかはわかりませんが、人間がコンクリートに囲まれた都市で暮らすようになったのはここ100年程度で、まだまだ身体が都市の環境に追いついていないのかもしれません。

こうしてみると、ストレス社会の中で街中の緑地が持つ役割の大きさに気付かされます。住む場所を選ぶときは行動範囲内に緑地があるかどうかを基準にしてもいいのかもしれません。都市にもっと緑地、増えてほしいですね。